イメージを一新する、イメージを刷新するということは、企業や個人が新しい方向性を打ち出すときによく使われる言葉でしょう。色を塗っていることに気付きフラットに戻すのはこのイメージに近いです。上から塗り重ねてもいいのですが、どちらかというと本来は色が着いていなかったことを重視した方がいいでしょう。原点回帰、物事は本来フラットであったことに気付くのです。
恐らく、個別のものを始めとして、世界が丸ごと複雑に色に塗られていることと思います。もう元の色は全くわからないでしょう。今までのあなたが塗り重ねてきた様々な色は、本来の姿を覆い隠してしまっています。
だから今、世界が美しく見えなくても心配はいりません。単にベタベタと幼児のイタズラ書きのように適当に色を塗ってしまっただけなのです。それはそれで芸術的なのかもしれませんが、本来の美しさを取り戻すなら塗装を全て落とすといいでしょう。
人も物も、それらが織り成す物事も、全てはフラットで良くも悪くもないのです。良い悪いというのも、あなたが塗った色に過ぎません。この世界にあるものは全て素材です。何もかもがそれ以上の意味は持っていません。あなたの世界が本来の色、つまりは何色にも染まっていない素材の色を取り戻したとき、あなたは自分が色を塗っていたこと、そして自分は何色に塗ってもいいこと、自分は何でも出来ることを知るでしょう。
ここでは分かりやすく他人を例にしましょう。あなたの世界に存在する人々は一人残らず良くも悪くもありません。とても信じられないかもしれませんが、本来は全員がフラットなのです。何の色もないあなたの現実を彩る素材に過ぎません。あなたが色付けをしてカラーを決めます。その人はもうその色に塗られてしまったのですから、その色に見えるのは当たり前です。
他人との関係をあなたは温めようとするでしょう。ちょうど鍋を火にかけるのと同じです。徐々に温められていきますが、ちょっと目を離したり火が強すぎてしまうと、空焚きになって鍋は焦げてしまいます。
こびりついた鍋の焦げのように、その人のイメージはなかなか落とせないかもしれません。本来の焦げの付いていない美しい素地が出るまで根気が必要になるかもしれません。けれど、確かに言えることは、どの人も最初から焦げ付いていていたわけではないということです。
新品の鍋に焦げが着いているでしょうか。焦げがついているなら、それは新品とは呼ばないでしょう。その人も最初は新品の鍋だったのです。だからどうか嫌いにならないでください。いくら磨いても落ちそうにない頑固な汚れに見えても、本来は一点の曇りもない素地であったことを思い出して欲しいのです。決して無理でも無駄でもありません。どんな人でもフラットな素地の状態に戻すことは可能なのです。