あなたが「それ」に対して嫌なイメージがあるとき、それにはあなたにとって嫌な色が塗られています。ならばどうすればいいでしょうか。その上から新しい色を塗るのも一つの手でしょう。その人に対するイメージがガラッと変わったという経験をあなたもしたことがあると思いますが、その人はあなたの中で新しい色に塗り替えられたのです。
ただしそれは、あなたが意図的に行ったことではありません。どちらかというと、今までの色とは違って見えたということに近いものです。願望とはある意味「それ」を今までとは違う色で見たいという欲求ですが、「それ」の色が変わることを期待しても期待通りに色が変わるかどうかはわかりませんし、そもそも色が変わるまで待たなければなりません。もう一つ付け加えればあなたに色の選択権はないことになります。
あなたに出来ることは、「それ」の塗装を落として無塗装の素材という初期段階に戻すことです。最初は色が塗られていなかったことに気付いて 、そこで改めて新たな色を決めればいいのです。人との関係はそうなっていないでしょうか。知り合ったばかりのときは情報が少ないので、文字通りその人のカラーが決まっていません。徐々に色が塗られていきます。様々な色が重ねられて陰影や奥行きを増しながらその人のカラーがあなたの中で決まっていきます。
一度塗られた色はなかなか変わりません。それに、何色もの色が複雑に塗り重ねられているので、その人の本当の色がわからないことさえあります。複雑な陰影、何色と何色が組み合わされてその色になっているのか判別できないことはよくあります。人の奥深さはそうして出来上がっていくわけですが、あなたの中での問題はその完成品が美しくないということです。
だからこそ、無塗装の素材の状態に戻した方がいいのです。無塗装の状態は良くもないし悪くもないでしょう。美しくもないかもしれませんが醜いわけでもありません。無塗装に戻すことはそれほど難しいことではありません。特有の色が自分によって塗られていること、元は何の色も着いていないことを意識して「それ」を見るといいのです。無塗装に戻す、或いは上から一色で塗り潰す。あなたがイメージしやすい方で構いません。要はキャンバスが白一色になればいいのです。