悩みがあるときにあなたが考えることは「どうすれば解決するだろう」ではないでしょうか。言い換えれば、どうすれば「そのこと」を思い出したときに嫌な気分にならずに済むだろうかです。
その根拠を、あなたは外側の変化に求めます。あの人が、或いはお金が、あなたにとって心地いい関係であれば最初から悩みなどしないのです。つまり、多くの人にとっての問題解決法は「どうすればそれらを自分好みに変えることができるだろう」です。
それが好意を持つ人であれば「どうすれば自分のことを好きになるだろう」だし、お金であれば「どうすればお金が寄ってきてくれるだろう」です。いずれにせよ、外側を変えようと努力するのです。
人間関係の悩みのきっかけは「あの人があのときああ言ったから」とか「あいつがあんなことをしなければ」といったようなものだったのでしょう 。それによって、あなたはその人を思い浮かべる度に嫌な気分になるようになってしまった。これが悩みの発生です。
それはあなたにとって許しがたい蛮行であったり、愚かな行為であったり、理不尽な出来事であったりしたのでしょう。いずれにせよ言えることは、それらはリアルタイムで起こっていることではないということです。
その人の蛮行や愚かな行為とは全く無関係なことをしていても、その人のことが思い浮かぶと途端に嫌な気分が充満します。何を言いたいのかというと、あなたはその人と闘っているのではなく、その人の記憶と闘っているということです。
相手はその人そのものではなく、その人の記憶なのです。記憶という姿形のないもの、勝てるはずのない幻を相手にしてしまっているのです。悩みを解決する方法は一つです。「そのこと」を思い出したときに嫌な気分になることをやめることです。
まずは「そのこと」を思い出すと嫌な気分になるという、自分の癖に気付くだけで構いません。その癖はほとんど条件反射のようなもので、直ちに修正はされないかもしれませんが、自分が何を思い出したときに嫌な気分になるかに敏感になるといいでしょう。
内部的な不快感の消滅をもって悩みはなくなるのか、外部的な要因を確認することによって悩みはなくなるのか。恐らく、大半の人が外部の変化が確認できなければ悩みが解決したとは認めないでしょう。
しかし、「そのこと」を思い浮かべたときに嫌な気分にならないという結果は、内部的な処理でも外部的な変化の末に起きた処理でも同じです。つまり、問題の解決は外部の変化が必要なわけではなく、内部の変化のみによっても成されるということです。