あなたが目にしている映像は幻想という下絵です。これは、ちょうど色を塗る前の塗り絵のようなもので、目に映っている時点では何の色も塗られていません。その下絵にあなたが認識という色鉛筆で色を塗ります。
あなたは自分の認識に沿って色を塗っていきます。姿形や色、それがどのような性質で、どのような役割か。そして、自分とどのように関わっているか。そうして、幻想という下絵に認識という色を塗るのです。あなたによって色が塗られた世界は鮮やかに現実味を帯びるでしょう。
色を塗る前の状態、幻想の段階では固有の色は着いていません。あくまでも無色の下絵にあなたが色を塗っているのです。鉄を目にすると硬い、冷たいといった色を塗るし、子犬を目にするとふわふわ、かわいいといった色を塗ります。認識が色を塗り、その性質を決めています。
他人で考えると分かりやすいでしょう。姿形、性質、役割、あなたとの関わり方など、それぞれ固有の色をあなたは塗っています。それは家族なのか、恋人なのか、友人なのか、好きな人なのか、嫌いな人なのか。幻想として目に見えているだけの状態では、その人のキャラクターはまだ定まっていません。あなたがキャラクターを決めて色を塗り、生命を吹き込んだのです。
頭の中では絶えず認識が行われます。自分が考えていると実感しているものは、実際にはどう認識するか、どのような色を塗るかを抽選していると言った方が近いのです。信じられないかもしれませんが、その人は最初からそのようなキャラクターだったわけではありません。あなたがその人に固有のキャラクターを色付けしたのです。
幻想が認識によって現実となります。これがあなたが過ごしている世界の仕組みです。この仕組みに例外はありません。あなたに出来ることはどう認識するか、いわばどんな色を塗るかを選択することです。言うまでもなく、どんな色を塗っても構いません。それにも関わらず、自分が仕上げた塗り絵を見て「美しくない」「イマイチだ」と評価しているのは他ならぬあなたです。
幻想という下絵はあなたに変更できません。木を石に変えられないのと同じです。けれど、幻想にどんな認識をしても構いません。その通りの現実が出来上がるだけです。塗ってはいけない色などないし、あなたがその色だと言えば誰にも反論はできないのです。