頭の中で絶え間なく思考がおしゃべりをしているでしょう。壊れたラジオのように延々と語り続け、おまけに脈絡もなく話が飛びます。どれを選んでも正解であることは、これまでに語った通りですが、思考が浮かんでいるというよりも絶え間なく現実が浮かんでいるという方が正確です。無数の現実が絶え間なくランダムに現れては消えていきます。
頭に浮かんだ時点でそれは既に現実なのです。とても信じられないような現実もあるでしょう。頭の中でそう思っているだけ。そう感じる現実もあるでしょう。けれど、信じようと信じまいと頭に浮かんだことは全てが現実なのです。
どの現実を選ぶかです。現実であることの証拠を見付けようとせず、全て現実であると気付くことです。それが事実はどうかは、その後に発生する思考によって勝手に分別されています。これをもう一段掘り下げてみましょう。全てが現実であるということは全てが幻想だということでもあります。なぜなら、頭に浮かぶものは全て同じ性質を持っているものだからです。
頭の中では「これは現実」「これは頭の中にあるだけ」と自動的に区別されているでしょう。しかし、最初は全て「認識」という同じものから発生しています。現実と認識するか、幻想と認識するか。元を辿れば現実も幻想も同じものなのですが、ハッキリとそれを区別している者。それが「自分」です。
幻想と現実が同じ「認識」というものによって出来上がっているのですから「全て幻想だ」も「全て現実だ」も同じことです。どちらで解釈しても構いません。幻想と現実は本来区別などされていないことに気付くことの方が大事です。あなたは考えているようで考えていないのです。ここにあるのは認識と記憶です。どれを現実とするかを選んで、それを現実として記憶しているだけなのです。
脳裏に浮かぶものは全て幻想です。頭の中にしかないのですから幻想という他ありません。この意味がわかるでしょうか。現実と思っているものさえも含めて丸ごと幻想であるという意味です。幻想であるが現実でもあり、現実であるが幻想でもあるのです。認識が幻想と現実を自動的に分けているだけなのです。